会社紹介2019.10.31
製材所探訪記 ~オグラ(福島県)~
福島県南会津で広葉樹を幅広く扱うオグラさん
国内における製材会社というと、ほとんどが杉やヒノキなどの針葉樹を扱い、住宅用途をはじめとした建材を中心に生産しています。
もちろん無垢材以外にも、合板や集成材などのエンジニアードウッドと呼ばれる加工材として多く活用されていますが、対象樹種はやはり針葉樹がメイン。
一方で、木材として有用とされる国産材の樹種は多岐にわたり、利用程度の差こそあれ100樹種以上はあるようです。
その多くは、広葉樹に分類され、有名な材としては、ヤマザクラ、ケヤキ、クリ、ナラなどが挙げられます。
ただ、これら広葉樹の製材品を調達するのは結構大変なのです。
理由はいろいろとありますが、そもそも広葉樹を製材する会社さん自体が少ない。
海外の広葉樹は、ウォールナット、チェリー、オークなどの人気樹種が多く、フローリング材や家具用途でよく使用されているので国産広葉樹も上手くやればもっと利用されるとは思うのですが。
ということで、今回は実際に国産広葉樹を扱う製材会社さんにスポットをあててみたいと思います。
福島県の南西部に位置する南会津町にて、製材業から家具製作、木の家づくりまでを行うオグラさん。
工場の前では、「きこりの店」と書かれた大きな看板が出迎えてくれます。
原木から購入して希望に沿った製材が可能な独自のシステム
時期にもよりますが、敷地内には地元福島をはじめ各地より手配された原木が集められます。
通常の製材会社さんでは、自社で製材し乾燥した製材品を販売するのですが、オグラさんでは原木の状態から購入して用途に応じた製材を依頼することができます。
原木から依頼するのは難しいように思えますが、経験豊富なスタッフのアドバイスのもと希望の寸法で製材できることや価格面などでメリットが。
また、自分が選んだ原木がその場で製材され、製品になっていく過程を確認できるのも意義深いですよね。
トレーサビリティの面からも原木の産地が特定できるのも重要です。
丸太を選んだあとは、すぐに敷地内の製材所で熟練のハンドルマンによって板に製材されていきます。
ここでも原木の状態からアドバイスを受けながら製材してもらえるので安心ですね。
製材後は乾燥工程に入るのですが、杉やヒノキなどとは異なり、広葉樹は天日干し(天然乾燥)で数カ月から長い場合は年単位でじっくり水分を抜いていきます。
乾燥過程ではどうしても割れやくるいが発生する場合があるのですが、以下のように割れ止め剤を製材後に施すなどの適切な処理で発生リスクを軽減することができます。
天日干しは風通しのいい環境でお客様ごとに管理されて行われていきます。
敷地内には人工乾燥機も設備されており、乾燥の仕上げとして約10日~2週間ほど機械で乾燥され含水率を更に落とします。
このように丁寧に乾燥工程を踏んだうえで、家具や木工用途の材としてお客様の手元に納品されていきます。
木材好きにたまらない直営店舗が併設
オグラさんでは、製材所の隣に店舗も併設されていて、数多くの立派な一枚板からテーブルなど家具、小物まで幅広く取り扱われています。
この店舗だけでも訪問価値ありです!
国産の広葉樹は、もともと里山や雑木林と呼ばれる森林で利用と天然更新を繰り返して維持されてきました。
つまり持続可能型な資源です。
過度な伐採はもちろんよくないですが、多様な広葉樹の活用が進めば森林環境を守ることにもつながるので、もっと上手く利用される仕組みが拡がればいいなと思います。