木材2019.07.19
木材における品質基準「JAS機械等級区分構造用製材品」
木材の品質はどう評価される?
近年、木材の利用方法として、住宅以外の建築物=「非住宅」分野に拡がりを見せていますね。
公共施設や店舗などの他、東京オリンピックの各会場でも国産木材が多く活用されています。
そうした非住宅分野で使用される木材では、合法木材や森林認証材(FSC®など)であることを求められる(=トレーサビリティを確保)ような話はよく耳にします。
更に、非住宅分野に問わずですが、木材自体の「品質」に関する要望も高まっているようです。
ここで、疑問点ですが無垢の木材の「品質」を示す共通基準ってどうやって示されるのでしょうか??
節の有無などによる”見た目”の等級分けは一般的ですが、構造上の基準になるような区分意識は少ない印象です。
規格がないのか?といえばそうではなく、工業製品にJIS規格があるように、木材にもJAS規格(日本農林規格)というものがあり、品質の基準化はされています。
ただ、流通する多くの木材は該当しない「無等級材」(=JAS規格外の材)が一般的のようですね。
構造材におけるJAS規格を満たした材料(JAS製材)には、節・丸身などの欠点を目視で等級区分する【目視等級区分構造用製材】と木材のねばりやたわみにくさを示すヤング係数(E)や含水率を計測して区分する【機械等級区分構造用製材】に分けられます。
数値化して等級区分する後者の【機械等級区分構造用材製材】が品質の明確さを示すという意味では重要度が高いと思いますが、認定を受けている製材会社は、全国でわずか80社ほどしかありません。(製材会社は4000社超え) ※令和元年.7月現在
つまり、利用する側が、品質で等級区分された材料を求めても、供給可能な会社が僅かしかないというのが実情なわけです。
機械計測(グレーディング)を実施する製材会社さんを訪問
今回、埼玉県で【機械等級区分構造用製材】に対応したJAS製材品を供給されている製材会社さんを訪ねてみました。
埼玉県、秩父市で製材業を営む「金子製材」さんです。
金子製材さんでは、主に杉・ヒノキ材を中心に製材されています。
同社では平成14年にヤング係数や含水率を計測するグレーディングラインを稼働し、翌平成15年にはJASの機械等級区分構造用製材と人工乾燥構造用製材の認定を取得しています。
当時、同JAS認定を取得したのは全国の製材会社で4社のみで、まさにJAS製材のリーディングカンパニーといえます。
グレーディングマシンで計測された各数値は、同ライン上で印字されていきます。
下の写真の表示は、
上)ヤング係数:E70 / 含水率:15%以下
下)ヤング係数:E90 / 含水率:20%以下
を意味します。
ヤング係数は数値が高いほど、木材強度が強いことを意味します。
こうした数値は木材の品質を明確化させることで品質に応じた使い方も可能になり、構造計算にも非常に役立ちます。
実際に、住宅メーカーや流通大手企業でも近年こうしたJAS製材品の採用傾向が高まっているようです。
今後、木材のトレーサビリティに加え、品質基準を求めるユーザーは増えると思うので、供給側の対応としては重要な要素になるのではと思います。