現地レポート2020.02.26

短納期を実現する新たな木材乾燥技術に迫る

乾燥納期の大幅短縮?「石」と「水」による木材乾燥技術

 

 

木材を材として使用する際、「乾燥」というキーワードが重要になります。

乾燥具合が甘い(=水分が多い状態)と、のちのち木材が割れたり、反ったりと様々なリスク要因となります。

その為、木材は製材後に「乾燥」という工程を経て、適した水分量(含水率)に調整して製品として出荷されていくことが重要になります。

木材の乾燥には、大きく「天然乾燥」という天日環境で自然な状態で乾燥させる方法と機械によって強制的に乾燥させる「人工乾燥」に分類され、人工乾燥にも「蒸気式」「除湿式」「高周波」など、様々な方法や乾燥温度などに細分化されていきます。

いずれの方法にも特徴があり、独自の技術やノウハウが積み重なり、木材乾燥が製材会社さんの大きな武器にもなっていきます。

 

桟積みされ、時間をかけて乾燥される一枚板

 

人工乾燥機に釜入れされる板材や構造材

 

一方、木材の乾燥は製材品の供給時において大きな壁になることも多々あります。

その代表的な課題は「納期」

一般的に流通している規格品の場合、乾燥済みの製品が調達できないというケースは少ないですが、特注サイズ品、地域指定材などの場合、発注してから製材開始ということも当然発生します。

それが、厚みのある材や乾燥に時間を要する広葉樹などの場合、納期面で致命的になってくるわけです。

私自身も、指定の広葉樹を使用する際に、丸太はあるのに乾燥が間に合わない!ということに何度も直面したことがあります。

 

さて、そんな中、とある木材会社さんで今まで見たことのない木材乾燥方法と出会いました。

話をお聞きすると、まさに納期が格段に速いうえ、乾燥時のリスクであるひび割れや捻じれを抑えた高品質な仕上がりを実現できるとのこと。

それは気になります!

抗火石と改質水を活用した木材乾燥機

ご紹介いただいたのは、石川県金沢を拠点に創業100年を超える老舗木材店 フルタニランバーさん。

同社はアジア、欧州、豪州、北米から国内も含め、各地より多岐にわたる樹種を調達して販売されており、お客様からの多様なオーダーに対応されています。

当然、納期対応が重要な要素になるわけで、その対応レベルを上げる為に導入されたのが、以下に紹介する木材乾燥機になります。

 

まず驚くのは、乾燥釜内の壁面。なんと、石が敷き詰めらています。

イメージとしては、、、「サウナ」

敷き詰められている石は、天城抗火石と呼ばれ、マグマの熱で溶かされた黒曜石が急冷して出来た多孔質の石で蓄熱・保温・遠赤外線効果を持つそうです。

 

 

乾燥の流れとしては、ボイラーで熱せられた水蒸気によって乾燥炉内を65度に維持して乾燥を促進していくのですが、その中でポイントとなるのが抗火石ともうひとつ。

それが、微細な丸い粒子となり、滑らかで浸透しやすい改質水(=SW1水)と呼ばれるもの。

乾燥機に併設された「造水器」により、水道水自体が木材乾燥に適した性質を持ったものがこの改質水になります。

 

高温のミスト状になった改質水が木材に当たることで、木材内の水分が細分化し、外側に気化して乾燥が進みます。

その際、抗火石による遠赤外線効果により、木材の中心部まで蒸気が浸透する為、短期間で安定した乾燥効果を得られるわけです。

 

樹種や寸法にもよるのですが、乾燥期間としては30~70%短縮されるという結果が出ているほか、使用燃料も従来のボイラー式乾燥機と比較すると、半分程度で運用できるそうです。

 

 

乾燥工程の流れ

※画像出典元:株式会社澤本商事様 https://www.sawamotoshoji.jp/

 

 

改質水と抗火石を用いた木材乾燥の結果

以下は、いくつかの材を実際にこの方法で乾燥させた際の結果になるのですが、乾燥期間を短縮できているのが分かります。

※画像出典元:株式会社澤本商事様 https://www.sawamotoshoji.jp/

 

木材乾燥に携わる会社さんで、この乾燥設備にご興味があれば是非ご相談ください。

フルタニランバーさんでは、乾燥機の導入相談の他、乾燥のみのご相談(賃乾燥)もお受けいただけます。

 

広葉樹の天板材などもこの技術があればかなりの乾燥期間の短縮を図れ、お客様への提案の幅が増えそうです。

また、事例情報など随時更新させていただきます!

 

 

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