木材2020.04.13
ヒノキの抗菌効果を検証してみる
注目されるヒノキの特性
日本を代表する木材樹種であるヒノキ。
周知のとおり、ヒノキは建築材を中心に様々な用途で利用されています。
耐久性や保存性に優れ、日本の気候にも適した材で、世界最古の木造建築物である法隆寺をはじめ、1000年以上前のヒノキを使用した建築物が今なお現存することが建築材をしての価値を示すものだと思います。
また、ヒノキには、化学的根拠を基にした様々な有用効果がある点も広く知られています。
いろいろとありますが、主な効果を挙げてみます。
■抗菌効果
ヒノキの成分である、αカジノールには木材を腐らせる腐朽菌の繁殖を抑える効果があります。
また、ヒノキオール(ヒノキチオールとは異なります)という成分には様々な抗生物質に耐性を持つ病原菌に対する殺菌作用があることが確認されています。
■リラックス効果
森林浴が体にいいというのはよく知られていますが、近年の研究により、ヒノキや杉に含まれるαピネンという成分を吸入すると、副交感神経活動の指標である心拍のゆらぎに影響を与え、生理的リラックスがもたらされることが実証されました。
■消臭効果
ヒノキには、様々な匂いのもとになるアンモニア臭をはじめとする様々な匂い成分を分解する効能があり、ヒノキ精油を活用した製品などに応用されています。
経験的にヒノキっていいなあ、というのは多くの人が感じていると思いますが、化学的に実証されると一層価値を感じますね。
ヒノキの抗菌効果を実際に試験してみる
その中で、今回実際に抗菌効果について試験検証してみました。
建築物以外でも様々な木製品でもヒノキは使用されていますが、今回は家庭にひとつはあるであろう「まな板(カッティングボード)」を対象としてみました。
検査対象の試験菌は、食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」
試験方法としては、試験体(ヒノキ)と対照試料において、試験菌を接種した直後と18時間後培養後の生菌数の増殖差(抗菌活性値)を計測します。
・抗菌活性値(A)=F-T
F:18時間後の対照試料(無加工品)の生菌数の対数値(増殖値)
T:18時間後の試験体(ヒノキ)の生菌数の対数値
実際の検証結果は、、
抗菌活性値(A)=2.3-(-3.0)=5.3
という結果になりました。
この抗菌活性値ですが、2.0 以上(99%以上の死滅率)で抗菌効果があると規定されています。
つまり、今回の試験対象ではヒノキ製のまな板(カッティングボード)には、化学的に抗菌効果があると実証されたわけです。
試験に使用したヒノキまな板は、表面等に何かの成分を付加したわけではなく木材そのままの状態なので、
そう考えると、ヒノキってすごい!って改めて実感しますよね。
今回は、キッチン用品であるまな板を対象として実施しましたが、当然内装材などの無垢建材でもあてはまるので、
除菌、抗菌というキーワードが年々注目度を増している現在、天然の素材として十分な効果を発揮する木材の力は一層見直されて価値が高まるのではないでしょうか。